編集部が老舗佃煮メーカーの職人に聞いた「基本の戻し方」を、2026年1月に編集部キッチンで実際に検証した。用意したのは北米産ニシン卵を使用した塩数の子(100gパック、塩分濃度約16%)。ボウルに塩数の子が完全に浸かる量の水(約1L)を入れ、冷蔵庫ではなく常温でスタートした。
【手順1:水戻し開始】塩数の子を水に浸けたら、すぐに指で軽くほぐす。固着している場合は無理に剥がさず、30分ほど置いてからゆっくり分離する。ここで重要なのが「水の量」。少なすぎると塩分が抜ける効率が下がり、雑味が残る。職人の助言では「数の子の重さの10倍以上の水」が目安だ。
【手順2:塩抜き時間の見極め】1時間ごとに水を交換しながら、合計4時間で最初の味見を行う。この時点で指先にわずかに塩味を感じる程度なら、そこから30分追加して再チェック。編集部の実測では、厚み4mm前後の標準的な数の子は4時間30分で塩分が0.6%まで低下し、理想的な状態になった。逆に6時間を超えると塩気が完全に抜けて「水っぽいだけの食感」に変わってしまう。これが「水戻し失敗」の最も多いパターンだ。
【手順3:薄皮取り】塩抜きが終わった数の子には、表面に薄い膜(薄皮)が付着している。これを取らずに味付けすると、口に残るえぐみや臭みの原因になる。正しい方法は、ボウルに新しい冷水を張り、数の子を1本ずつ手に取り、親指と人差し指の腹で優しく挟みながら前後にこする動作。薄皮が浮き上がってくるので、水の中でゆすぐだけで簡単に剥がれる。爪を立てたり、ピーラーを使ったりするのはNG。身が崩れて見た目が台無しになり、おせちの盛り付けにも支障が出る。
【手順4:臭み取りの仕上げ】薄皮処理後、すぐに味付けに進まず、軽く日本酒(大さじ1程度)を振って5分置くと、残っていた生臭さが中和される。これは多くの料理研究家が実践する「隠し工程」で、レシピ本には載っていないが効果は大きい。編集部の比較試食でも、日本酒を加えた群は加えていない群より明らかに後味がクリアだった。