県外からの観光客が最も頭を悩ませるのが、「小嶋屋」と名の付く店舗の多さです。実は現在、新潟県内には小林重太郎氏の血統と暖簾を受け継ぐ3つの独立した企業組織が存在します。昭和中期以降、創業者の息子たちによって独立した法人展開が行われた結果、それぞれが独自の進化を遂げました。
初代の長男系統が継承した小嶋屋総本店は、発祥の地である十日町市中条に巨大な水車とケヤキ材の重厚な総本店を構え、伝統技術の保護と設備投資の両面で業界を牽引しています。一方、次男系の「越後十日町小嶋屋」は本町商店街を拠点に地域密着を貫き、三男系の「長岡小嶋屋」は商業施設などアクセス至便な立地でブランドを広げてきました。
別会社であるため、自社製粉の配合比率やつゆのかえし、サイドメニューの構成には細かな個性があります。しかし、初代・重太郎氏が確立した「布海苔つなぎのへぎそば」という根本精神は、3社すべてに色濃く受け継がれています。