逮捕後、無期懲役の判決を受けて収監された石川一雄の真の闘いは、牢獄の中で始まった。自らの無実を自らの言葉で裁判所に届けるため、彼は獄中で五十音図から文字の勉強を開始する。不屈の意志で辞書をめくり、漢字を覚え、やがて自らの手で無実を訴える再審請求書や手紙を書き上げるまでに至った。
文字を獲得したことは、彼にとって「人間としての尊厳」を取り戻す儀式でもあった。部落解放同盟をはじめとする多くの支援団体が立ち上がり、全国的な冤罪被害者救済のうねりが広がった背景には、獄中から発信され続けた彼の直筆の手紙と、誠実な生き様があった。