西新井大師の指輪がこれほどまでにメディアやSNSで拡散された発端は、何気ない口コミの連鎖でした。しかし、この指輪はお寺の授与所(寺務所)で頒布されている公式のお守りではありません。山門のすぐ近くに店を構える露店(玉津留屋など)の職人・鑑定師が、訪れた参拝者一人ひとりの手相を丁寧に拝見し、その人のエネルギーや運命の流れに合わせて授ける民間の縁起物です。
鑑定の流れは極めて独特です。まず水晶の板の上に両手を置き、深呼吸をして気を整えます。鑑定師が手のひらのシワや肉付き、血色を瞬時に読み取り、現在の悩みや性格の癖、これからの運気のバイオリズムを言い当てていきます。その上で、干支や生年月日に合わせた守護梵字が刻まれた金・銀のリングを選び出し、依頼者の特定の指へ直接はめてくれます。
単にアクセサリーを買うのではなく、「自分自身の現状と向き合い、気を通してもらう」という一連の儀礼的体験が、持ち主の心理状態を前向きにし、良縁を引き寄せる強い推進力になっていると分析できます。