キヨッソーネは西郷隆盛が生きていた時代に来日していたものの、一度も西郷本人と直接対面したことがありませんでした。そこで彼が取った手法が、西郷の血縁者の顔パーツを合成してモンタージュを作成するという前代未聞の試みでした。
作画にあたり、モデルとして選ばれたのは以下の2名です。
・顔の上半分(目元・眉・額):実弟である西郷従道(さいごう じゅうどう)
・顔の下半分(鼻・口元・輪郭):従兄弟である大山巌(おおやま いわお)
西郷の面影を強く宿しているとされた従道から特徴的な鋭い眼光を借り、大柄で豊かな体躯を持っていた大山巌から引き締まった顎や口元の特徴を写し取りました。キヨッソーネは卓越した画力で見事に2人のパーツを融合させ、さらに生前の西郷を知る関係者たちの証言を重ねて1枚の肖像画を完成させたのです。この明治維新を象徴する肖像画の合成トリックによって、私たちは今も「親族のハイブリッド顔」を西郷隆盛の真の顔として認識し続けています。