しかし、奇跡的な借金救済の裏には過酷な代償が待ち受けていた。細木数子は島倉千代子の興行権とマネジメント権を完全に掌握。島倉を全国各地のキャバレーや地方劇場で連日歌わせ、過密極まりないスケジュールで得たギャラを借金返済へと容赦なく充当していったのである。
「私はあなたを助けてやった命の恩人よ」――。細木の発言力は日増しに強まり、島倉の生活態度やプライベートにまで厳格な制約が課されるようになった。ステージ上では可憐に微笑む島倉も、舞台裏では細木の絶対的な支配に怯え、精神的にすり減らしていった。救済から始まった関係は、いつしか主従関係へと変貌。耐えかねた島倉が独断で独立を画策したことで、二人の関係は修復不可能な亀裂を迎え、泥沼の絶縁へと突き進むことになった。