通り(県道)を挟んでわずか数百メートルしか離れていないシャトー・オー・ブリオンとシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン。同じオーナー(クラレンス・ディロン・ワインズ)が管理し、同一の醸造チームが手掛けているにもかかわらず、グラスに注がれた瞬間に立ち上るキャラクターは明確に異なります。
最大の違いは土壌の組成と品種構成(セパージュ)にあります。オー・ブリオンが小石主体の砂利層を多く含むのに対し、ラ・ミッションの畑は深層に粘土質の層を豊富に含んでいます。この粘土質が保水力と適度な冷涼感をもたらし、ワインにより太い骨格とリッチな果実味を与えます。
味わいの特徴を一言で表すなら、オー・ブリオンが「気品高く洗練された貴婦人」であるのに対し、ラ・ミッションは「堂々たる筋肉美と官能性を兼ね備えた騎士」です。ブラックベリーやカシスのアロマに、葉巻、トリュフ、焼いた粘土、エスプレッソ、そして特有のスモーキーなニュアンスが幾重にも重なります。口に含むと凝縮感のある滑らかなタンニンが広がり、深みのある長い余韻が持続します。