生花店や庭先では凛と咲き誇っていた紫陽花が、室内に飾った途端に力尽きてしまう現象には、植物の吸水システムに起因する3つの決定的な障害が存在します。「紫陽花萎れる原因と真相」を紐解くと、単なる水不足ではなく、物理的な水の通り道の遮断が起きていることが分かります。
第一の障壁は、茎の内部にびっしりと詰まっている「白いスポンジ状のワタ(髄)」です。紫陽花は木本性(樹木)に近い性質を持っており、茎の中心部に柔組織であるワタが存在します。このワタが切り口から雑菌を吸い上げたり、水中の微細な気泡を抱え込んだりすることで、水分を花頭まで吸い上げる「導管」を物理的に塞いでしまいます。
第二の障壁は、茎の切り口から分泌される粘液性の樹液です。紫陽花は自らの傷口を修復しようとタンニンなどの成分を含む液体を分泌しますが、これが水中で固まることで導管にフタをしてしまいます。さらに、大きな葉を何枚もつけたままにしておくと、根からの吸水圧がない切り花の状態では、茎からの吸水量よりも葉の気孔から大気中へ逃げる水分量(蒸散)が大幅に上回り、あっという間に脱水状態へ陥るのです。