どれほど圧倒的なステージを披露しても、「尾崎豊に似ているか、否か」という比較からは逃れられない。ライブ会場で求められるのは父の名曲「15の夜」の再現なのか、それとも自分自身のオリジナル曲なのか。その狭間で彼が味わった苦悩は想像を絶する。
「父の存在を消し去るのではなく、それすらも受け入れて自分の血肉にする」。長い葛藤の末に辿り着いたその覚悟が、彼の歌声を次のステージへと昇華させた。偉大な巨星の影から逃げるのをやめ、自らの足元に落とし込んだ時、彼のオリジナリティは真の強さを獲得した。それは比較される恐怖に打ち勝ち、音楽家として一本立ちした瞬間でもあった。