ドラマでのブレイク以前から、日本映画の現場における彼女への評価はすでに決定的なものとなっていた。実在の事件をモチーフにした過酷なヒューマンドラマ『あんのこと』では、社会の底辺で喘ぎながらも懸命に生きようとする主人公の絶望と希望を全身で体現。過飾を削ぎ落とした真に迫る演技は、多くの観客の胸を締め付けた。
一方で、カンヌ国際映画祭など海外でも高く評価された主演映画『ナミビアの砂漠』では、現代を生きる若者の虚無感と刹那的な熱量を瑞々しく描いてみせた。痛々しいほど生々しい人間性の吐露と、掴みどころのない気だるい佇まい。この振れ幅の広さこそ、実力派女優として彼女が主演作を重ねるごとに絶賛される最大のリズムである。