日本の最高峰のおもてなし施設を語るうえで、もう一つの存在を忘れてはならない。それが平成17年に開館した「京都迎賓館」だ。京都古来の数寄屋造りや伝統工芸の技を惜しみなく投入した純和風の意匠に対し、東京の赤坂離宮は徹底した西洋宮殿様式の中に日本のアクセンティズムを潜ませた設計となっている。
この2つの施設を比較すると、日本の近代化への足跡と国際外交の変遷が鮮明に浮かび上がる。明治の国家威信をかけて西洋建築の極致を目指した赤坂と、日本の伝統美の神髄を世界へ提示するために創られた京都。双方の建築美を脳内で照らし合わせながら参観を深めることで、日本が誇るおもてなし空間の奥深さをより重層的に理解できるようになる。