パティシエとしての確固たる地位を築いた鎧塚俊彦氏が、なぜここ小田原の地に大規模な農園レストランを開いたのか。その根底にあるのは、製菓業界に対する強い問題意識と「素材そのものが持つ力」への原点回帰だ。ヨーロッパの修業時代、農家とパティシエが直結し、その土地のテロワール(風土)を活かした菓子作りに感銘を受けた鎧塚氏は、日本でも自ら土を耕し、果実を育てる場所を求めていた。
小田原の石垣山は、相模湾からそよぐ心地よい潮風と、日当たりの良い斜面が重なるフルーツ栽培の絶好地だ。みかんをはじめとする柑橘類の宝庫であり、豊かな生態系が息づいている。ここで生産者と直接顔を合わせ、自らも農作業に汗を流すことで、真にフレッシュで生命力あふれるスイーツを生み出す循環が完成したのだ。