讃岐うどんといえば「極太で噛みごたえのある硬い麺」を連想する人が多い中、うどん一福 高松本店が打ち出したのは、常識を打ち破る「細麺」のスタイルでした。単に麺を細く切るだけでは、茹で上げた際にコシが失われ、頼りない食感になってしまいます。一福の真骨頂は、細麺でありながら中心に力強い芯とグミのような粘り強い弾力を宿らせている点にあります。
創業者が幾度もの試行錯誤を重ねて開発した製麺技術は、温度や湿度に合わせて小麦粉と塩水の配合をミリ単位で微調整し、13段階以上におよぶ徹底した熟成工程を経ることで生み出されます。この緻密な手仕事によって、口に含んだ瞬間の滑らかさと、噛み締めたときに押し返す強靭な弾力の両立に成功しました。
麺の個性を極限まで引き立てるのが、黄金色に透き通った極上の出汁です。香川県伊吹島産の厳選されたイリコ(煮干し)をベースに、利尻昆布、サバ節、ウルメ節を黄金比でブレンド。イリコ特有のエグみや苦味を徹底的に削ぎ落とし、澄んだ旨味と芳醇な香りだけを抽出しています。
この完成された一杯は、東京進出を果たしたうどん一福 神田店においても一切の妥協なく再現され、舌の肥えた食通やグルメ審査員を魅了。『ミシュランガイド東京』のビブグルマン部門に選出されるという、讃岐うどん界でも極めて稀な快挙を成し遂げました。「本物の讃岐うどんは太さではなく、麺の密度と出汁の調和にある」という事実を、一福の一杯が見事に証明しています。