「呪いの王」として君臨する両面宿儺と、人間への憎悪から生まれた真人。彼らをはじめとする主要個体の存在は、作品のダークファンタジー的魅力を決定づけた。千年前の平安の世から恐れられ、指の一本一本すら特級呪物として保管されていた両面宿儺の規格外の領域「伏魔御厨子」は、不可避の切断によって対象を刻み尽くす。その圧倒的暴威は、まさに神話的な破壊力そのものだ。
一方、人間同士の憎悪や恐れから生じた真人は、「無為転変」によって魂の形を自由に改変する残忍な術式を行使する。肉体をどれだけ傷つけられても魂の輪郭さえ保てば即座に再生し、触れた者の肉体を異形へと変貌させる彼の戦術は、精神的にも読者に深い恐怖を植え付けた。花御や漏瑚、陀艮といった未登録の特級呪霊たちもまた、自然に対する人間の畏怖や恐怖の感情を宿し、それぞれが固有の圧倒的世界観を領域として展開してみせた。