楽曲の持つシリアスで力強い世界観を決定づけたのが、現在も公式YouTubeなどで視聴できる公式プロモーションビデオ(MV)です。監督を務めたのは、アイルランドの気鋭映像作家メイ・ランバート(Meiert Avis)。撮影は1982年12月、極寒のスウェーデン・サーレナ(Sälen)の雪原で行われました。
映像には、吐く息を白く凍らせながら演奏するメンバーの姿や、雪深い森を馬に乗って進む4人の騎手の姿が収められています。過酷を極めたロケでは、あまりの寒さにメンバーが馬に乗ることを断念し、地元のスウェーデン人女性4名がメンバーの影武者(スタント)としてコートを着て馬を走らせたという有名なエピソードも残されています。赤と白の旗を掲げて雪原を進むビジュアルは、まさにポーランドの「連帯」運動の過酷な闘争と自由への行進を象徴するものでした。
さらに、『New Year's Day』の真価を世界に見せつけたのがライブパフォーマンスです。特に1983年6月、米コロラド州のレッドロックス野外劇場で行われた伝説のライブ(映像作品『Live at Red Rocks: Under a Blood Red Sky』に収録)での演奏は、ロック史に残る名場面として語り継がれています。
雨と霧が立ち込める中、エッジがステージ上でピアノとフェンダー・ストラトキャスターのギターを瞬時に持ち替えながら一人二役をこなす姿、そしてボノが巨大な白い旗を掲げてステージを疾走する姿は、世界中のロックファンの胸を激しく打ちました。スタジオ音源を超える熱量で繰り広げられるこのライブ演奏によって、U2のステージアクトとしての評価は決定的なものとなったのです。