チアミンの最大の弱点は「熱に弱く、水に溶け出しやすい」という物理的特性にある。強火でカリカリになるまで炒めたり、茹で汁をそのまま捨ててしまったりする調理法では、貴重な成分の3割から半分近くが失われてしまう。この損失をいかに防ぐかが最大の勝負どころだ。
メディアでも大きな反響を呼んだNHK「あしたが変わるトリセツショー」の検証実験でも示された通り、豚肉の栄養を守る最適解は「低温調理」と「スープまるごと摂取」である。肉の中心温度が上がりすぎないよう、65〜70度前後の低温でじっくり火を通すことで、タンパク質の硬化を防ぎつつビタミンB1の熱分解を最小限に抑えられる。
さらに、しゃぶしゃぶや蒸し料理にする際は、溶け出した栄養を受け止める野菜やスープベースをセットにすることが鉄則だ。具沢山の豚汁やミルフィーユ鍋のように、煮汁ごと飲み干せる調理法を採用すれば、流出したチアミンを余さず体内にリカバリーできる。