かつて「謎の居眠り病」とされてきた病態の解明において、歴史的なブレイクスルーをもたらしたのはスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所のエマニュエル・ミグノー教授らの研究チームだ。彼らは、脳内で覚醒と睡眠の切り替えをコントロールする神経伝達物質「オレキシン」の働きを特定した。
視床下部でオレキシンを生成する神経細胞が、自己免疫的な要因などによって脱落することが病因だと判明した。覚醒状態を維持する「脳の留め具」が失われることで、眠気と覚醒のバウンダリーが曖昧になり、突然の居眠りが引き起こされる。この科学的証明は、疾患に対する社会的偏見を払拭する決定打となった。