トーマスチューイングキャンディが単なる菓子を超え、平成から令和の幼少期を象徴するアイコンとなった最大の要因は、キャンディを包んでいた「転写シール(こすって貼るシール)」の存在にありました。
肌やプラスチック、学習机、下敷きなどに包み紙の裏面を当て、爪やコインで丁寧にこするとキャラクターが綺麗に転写されるギミックは、当時の子どもたちにとって魔法のような遊び道具でした。全何十種類もあるなかから「今日はパーシーが出た」「ゴードンを筆箱に貼った」と一喜一憂した記憶は、多くの人々の心に深く刻まれています。
終売が周知された当時、X(旧Twitter)ではトレンド上位を独占し、5ちゃんねるや知恵袋などの掲示板には次のような悲痛な書き込みが溢れ返りました。
「遠足のおやつ代300円の中で、これだけは絶対に外せなかった」「爪でこすりすぎて紙が破けたのも良い思い出」「子どもがシールを腕に貼りたがって泣いている。頼むから設備を直して復刻してほしい」
デジタルゲームやスマートフォンの普及によって物質的な玩具ギミックが減少するなか、指先を使って直接モノに定着させるというフィジカルな遊びの価値を、このキャンディは最後まで提供し続けていたのです。