本作の爆発的なエネルギーを語るうえで、主人公・小瀬清(猿桜)を演じ切った一ノ瀬ワタルの存在は不可欠だ。元格闘家というバックボーンを持つ彼が見せた野性味あふれる佇まいと、ふとした瞬間に漏れ出る哀愁。その強烈な存在感は、単なる「ならず者」の枠を超え、視聴者の感情を揺さぶり続ける孤高のダークヒーローを完璧に体現していた。
脇を固めたキャスト陣の熱量も異常な高みに達していた。染谷将太が演じた相撲への愛と自身の限界に苦悩する親友の姿、忽那汐里が扮した冷徹な眼差しで真相を追うジャーナリスト、さらには相撲部屋を仕切る親方や女将さんを演じたベテラン勢の重厚な演技。誰一人として記号的な立ち位置にとどまらず、エゴと矜持をぶつけ合う群像劇としての深みが作品の骨格を強固に支えていた。