世界的なシューズの巨頭がひしめくフットウェア産業において、これほど急激な成長を遂げたブランドは類を見ない。スイスのチューリッヒで2010年に創業した母体企業On Holding AGは、元プロトライアスロン選手らによって設立された。彼らが目指したのは、極上の着地クッション性と力強い蹴り出しを両立させること。その答えこそが、独特のチューブ状ソール「CloudTec」だった。
従来のランニングシューズはスポンジの厚みで衝撃を吸収するが、Onは空洞構造そのものが潰れることで衝撃を垂直方向だけでなく水平方向にも分散させる。履いた瞬間に誰もが口にする「雲の上を歩いているような感覚」は、決してお決まりのセールストークではない。スポーツ用品業界の常識を覆したこのテクノロジーは、長時間の徒歩通勤や立ち仕事に悩む現代人の足を一瞬で虜にした。