スタジオでの彼は、常に真摯で、それでいて周囲を和ませるムードメーカーだったという。当時の制作スタッフたちの証言によれば、マイクの前に立った瞬間に空気が一変した。彼が発する一言一言には、台本に書かれた文字以上の「情報量」が詰まっていた。
「テストの段階から、本番さながらのエネルギーをぶつけてくる人だった」と、あるベテラン音響監督は振り返る。若手声優が緊張で硬くなっていると、さりげなく冗談を言って緊張をほぐし、芝居のキャッチボールを楽しめる環境を作っていた。彼の演技がこれほどまでに生き生きとしていたのは、スタジオという空間全体を信頼し、楽しんでいたからなのだろう。