「早く消したいから」という焦りから、専門医の診察を受けずにセルフケアや安価なレーザー照射に踏み切る行為は極めて危険です。なぜなら、肝斑は皮膚深層のメラノサイト(色素細胞)が常に微弱な炎症を起こし、異常に過敏になっている状態だからです。
取材に応じた日本皮膚科学会専門医は次のように警鐘を鳴らします。「美容皮膚科の現場で最も悔やまれるのは、肝斑が潜んでいる肌に、一般的な老人性色素斑用のQスイッチレーザーや高出力ピコスポットを照射してしまい、激しい炎症後色素沈着(PIH)を引き起こしたケースです。患者様は『シミ取りに失敗した』と落胆されますが、これはシミ取りレーザー失敗のリスクというより、事前の診断ミスと強い熱刺激が引き金となった医原性の悪化に他なりません」。
さらに、日々の生活習慣にも肝斑が悪化する理由が潜んでいます。クレンジングや洗顔時に手のひらで肌を擦る摩擦、シートマスクを剥がす際の引っ張り、美白美容液をすり込む行為そのものが、敏感なメラノサイトを刺激してメラニン生成のスイッチを入れ続けてしまいます。自己判断での過剰なお手入れは、良かれと思った努力がすべて裏目に出るリスクを孕んでいるのです。