なぜ人はこれほどまでに強い眠気に襲われるのでしょうか。その謎を解き明かす鍵となったのが、脳内で作られる神経ペプチド「オレキシン」の発見です。筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の機構長を務める柳沢正史教授らの研究グループは、オレキシンが脳の覚醒状態を維持するために極めて重要な役割を果たしていることを解明しました。
ナルコレプシーなどの疾患では、このオレキシンを生成する神経細胞が消失したり機能しなくなったりすることで、脳が覚醒を維持できなくなります。2026年現在、オレキシン受容体をターゲットにした新薬の開発や臨床応用は目覚ましい進展を遂げており、睡眠障害治療の新たな扉を開いています。基礎研究の進展が、長年原因不明の眠気に苦しんできた患者たちに明確な治療の道筋を示しつつあるのです。