日本の文脈において、アニメーション産業の基礎を築いた伝説のスタジオ「虫プロダクション」。そこで生み出された日本初の連続テレビアニメ『鉄腕アトム』は、日本のエンタメ史を決定的に変えた。
手塚るみ子氏によれば、父・手塚治虫が目指したのは単なる子供向けのアニメではなかったという。人間のエゴ、科学技術への警鐘、そして孤独。『鉄腕アトム』の底流に流れる重厚なテーマ性こそが、今なお世界中で愛される理由だ。
また、巨匠の復活劇として知られる『ブラック・ジャック』にも深い裏話が存在する。当時はマンガ界の第一線から退いたと囁かれていた時期であり、手塚治虫自身の執念と、医師免許を持つ知識のすべてを注ぎ込んだ背水の陣の作品だった。命とは何かという究極の問い掛けは、締め切りに追われ満身創痍だった巨匠自身の叫びでもあったのだ。