シブがき隊が1988年秋に下した幕引きの決断は、単なる人気の浮き沈みによるものではありませんでした。シブがき隊の解散理由における最大の契機となったのは、本木雅弘が抱いていた「表現者・俳優として勝負したい」という強い脱退志向でした。
20代を迎えた当時、男性アイドルにはまだ「20代半ば=卒業・転換期」という見えない壁が存在していました。歌って踊るアイドルとしての記号的な役割に葛藤を深めていた本木は、自らの人生を賭けて本格的な役者の道を歩むため、グループからの離脱を真剣に考えるようになります。
しかし、そこで持ち上がったのは「メンバーを補充して続ける」「残った2人で活動を継続する」という選択肢ではありませんでした。薬丸裕英と布川敏和、そして本木の3人が下したのは、「1人でも欠けるならシブがき隊は成立しない。3人で綺麗に幕を引こう」という決断でした。誰かが辞めるから終わるのではなく、3人で歩んだ青春を最高の状態で完結させる——これこそが、単なる「解散」ではなく「解隊」という独自の言葉を用いた最大の真相です。