では、画家・石原延啓は現在どのような創作に取り組んでいるのか。国内外のギャラリー関係者やアートコレクターへの取材を進めると、彼が近年、大規模な空間インスタレーションと原初的な絵画表現を融合させた独自の新境地を拓いていることが分かってきた。
とりわけ注目を集めているのが、2026年に向けて水面下で準備が進むプライベート・アートプロジェクトだ。これは従来のホワイトキューブ(無機質な展示空間)にとどまらず、地方の廃校や自然環境のなかに直接絵画を配置し、風土や光と一体化させるサイトスペシフィックな試みである。関係者によると、都市の喧騒から離れた地方アトリエに拠点を置き、数年がかりで大作キャンバスの連作を制作しているという。巨大なサイズに挑むその筆致は、若い頃の尖った抽象表現から、包容力と静けさを湛えた有機的な世界観へと深化を遂げている。世間の視線から完全に自由になった今、彼はキャリアの中で最も充実した制作期を迎えている。