本作の歴史的ヒットを語る上で欠かせないのが、重厚なシナリオを書き上げたヒットメーカー遊川和彦の存在だ。劇中に散りばめられた数々の伏線と、後半で明かされるミタさんの凄惨な過去。彼女がなぜダウンジャケットと帽子を脱がないのか、なぜ一切笑わなくなったのかという裏設定には、あまりにも深い絶望が隠されていた。
かつて自分の笑顔がきっかけで最愛の夫と子供を事故で失い、「二度と笑うな」と義理の家族から責め立てられた過去。この凄惨なトラウマこそが、ミタさんの「感情の死」を形作っていた。完璧な家事能力を持ちながらも、命令されれば犯罪紛いの行為すら厭わない極端な行動原理は、自尊心を失った人間の究極の悲鳴だったのだ。一見すると歪んだ設定に見えるが、物語が進むにつれて視聴者はそれが「傷ついた魂の防衛本能」であったことを知り、深く共鳴していくことになった。