プレミアリーグと同等かそれ以上にフィジカルコンタクトが激しいと言われる英WSLにおいて、身長157センチのフットボーラーが中盤の底で無双する光景は、一見すると異質なものに映るかもしれない。しかし、相手選手が強烈なタックルを見舞おうと踏み込んだ瞬間には、ボールはすでに彼女の足元を離れ、広大なスペースへと届いている。
彼女の凄みは、ボールを受ける「前」の準備段階にある。首を左右に振り、ピッチ上のあらゆる位置情報を頭の中に描くスピードが尋常ではない。相手が寄せてくるベクトルを瞬時に察知し、あえて一歩引いてファーストタッチの置き場所を変える。相手からすれば、影を追わされているかのような錯覚に陥るのだ。無理に力で抗うのではなく、相手の力を利用して空間を作り出す技術——まさに極上の合気道を思わせる球離れの良さが、世界最高のプレス耐性を生み出している。