日本武道館の運営主体である公益財団法人日本武道館の歴史を振り返ると、この会場が持つ意味合いの変化が見えてくる。1970年代に矢沢永吉がソロアーティストとして初の単独公演を成功させて以来、武道館は邦楽ロック界・J-POP界の金字塔であり続けた。
しかし、新世代のアーティストが「武道館単独公演2026」を発表する現在のシーンにおいて、武道館は「最終目的地」ではなく「中継地点」あるいは「ファンとの濃密な交流の場」としての性格を強めている。巨大ドームやスタジアム公演を軽々と成功させるアーティストが、あえて親密な距離感を求めて武道館を選ぶケースも珍しくない。聖地の価値が落ちたのではなく、その使い道が多角化したのだ。