1997年5月、神戸市須磨区で発生した事件は、日本の社会秩序と犯罪捜査の歴史に巨大な爪痕を残した。当時中学生だった加害男児は「サカキバラセイト」を名乗り、犯行声明文を新聞社に送付。凶行の凄惨さと犯人の幼さが社会に与えたショックは計り知れず、少年法の改正論議を巻き起こす直接の引き金となった。
当時の少年法第61条は少年犯罪の推知報道を厳しく禁じていたが、一部の週刊誌が「東慎一郎」という実名を公表したことで報道倫理の境界線は瓦解した。メディア倫理を巡る激しい議論が巻き起こる一方で、プリントメディアから創成期のインターネット掲示板へとその名称が転載され、実名情報は永遠に消去できないデジタルアーカイブの最初の一歩を踏み出してしまった。