国際的な公衆衛生データや最新の『国連世界水発展報告書(WWDR)』の統計を紐解くと、蛇口から出た水をそのまま飲んでも安全とされる国は、日本を含むごく一部の国家に限られている。アジアでは日本とシンガポール、欧州ではアイスランド、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、スイス、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、そしてオセアニアのニュージーランドやオーストラリアなどが代表的だ。北米ではカナダの一部地域なども高い水準を維持している。
もっとも、これらの安全な国々であっても、飲用可能な理由は国ごとに異なる。北欧やアルプス山脈の自然に恵まれた地域では水源そのものの純度が高く、最小限の処理で供給されているのに対し、日本やシンガポールでは高度な濾過技術と厳重な薬品処理、継続的な配管メンテナンスによって安全を担保している。こうしたインフラ格差は、海外トラベル・観光産業においても旅行者の行動様式を大きく左右する要因となっており、現地での滞在リスクを測る第一の指標とされている。