庵治町を語る上で欠かせないもう一つの顔が、世界屈指の品質を誇る石材産業である。この地で採掘される「庵治石」は、その極めて緻密な結晶構造と、研磨した際に現れる独特の青みがかった「斑(ふ)模様」から、「花崗岩のダイヤモンド」と称される。風化に強く、細小な加工に耐えうる堅牢さは、古くは墓石や寺社の建築材として、現代では一流建築家やアーティストによる彫刻・プロダクトデザインへと活用範囲を広げている。
丁場(採掘場)が連なる五剣山の山麓では、ダイナマイトによる発破作業から手作業でのノミ入れまで、幾世代にもわたり受け継がれてきた職人技が息づく。機械化が進む現代においても、石の目を見極め、ミリ単位の狂いもなく切り出す技術は人間の直感と経験に依存している。地域の伝統産業を守りながら現代デザインへアプローチする試みは、産業観光の文脈でも高い注目を集めている。