三田寛子の夫であり、現代の歌舞伎界を代表する立役の一人である人物の芸名は「八代目 中村芝翫」だ。この漢字、一見すると読み方に迷う人も少なくない。正しくは「なかむら しかん」と読む。「翫」という字は日常で見かける機会が少ない珍しい漢字だが、「賞翫(しょうかん)」などの語にも使われ、深く味わい愛でるという意味を秘めている。
また、彼の本名は寺嶋幸二(てらじま こうじ)という。襲名前の三代目中村橋之助(なかむら はしのすけ)時代からの長いファンにとっては、旧名の印象も深く残っているかもしれない。大名跡である「芝翫」を襲名して以降、その名に恥じぬ重厚さと華やかさを兼ね備えた芸風で、舞台を力強く引き締めている。