1990年代に入ると、映像エンターテインメントの新たな潮流としてVシネマブームが到来する。地上波のコンプライアンスでは描ききれないリアルな暴力、人間の業、愛憎が渦巻くこの世界で、彼はまさに水を得た魚のように怪演を連発した。
画面に現れるだけで観客に緊張感を与える悪役の佇まいは、計算し尽くされた間合いと表情の微小な変化によって作られている。単なる悪役にとどまらず、その背後に潜む人間味や哀愁を覗かせる深いアプローチ。映画のみならず演劇の舞台でも培われた確かな基礎が、どんな過激な役柄にも圧倒的な説得力を与えていた。