「日本のメディア芸術100選」において最大の注目を集めたのが、カルチャーシーンの頂点を決める各部門の第1位タイトルです。一般アンケートと専門家部会の熱い審議を経て選ばれたフラッグシップ作品は、いずれも単なるヒット作の域を超え、社会現象を巻き起こした歴史的転換点となるタイトルばかりでした。
日本のメディア芸術100選 アニメ部門の頂点に立ったのは、庵野秀明監督が手がけた『新世紀エヴァンゲリオン』です。1995年のテレビ放送開始以来、謎に満ちた緻密な世界観、斬新な映像演出、人間の実存的苦悩を赤裸々に描いたテーマ性でアニメ界のみならず思想・カルチャー界隈全体を震撼させました。『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』といったスタジオジブリの国民的名作群を抑えての1位選出は、アニメーション表現が「大人の鑑賞に堪えうる前衛芸術」へと進化を遂げた象徴的な出来事として受け止められました。
続いて日本のメディア芸術100選 マンガ部門の首位を射止めたのは、井上雄彦氏によるバスケットボールマンガの金字塔『SLAM DUNK(スラムダンク)』です。『週刊少年ジャンプ』の黄金期を牽引した本作は、圧倒的な画力と息をのむリアリズム、登場人物たちの血の通った群像劇によって読者の心を鷲掴みにしました。『DRAGON BALL』や『火の鳥』などの並み居る巨編を制しての首位戴冠は、スポーツマンガの枠組みを刷新した表現力の到達点が高く評価された結果です。
また、ゲームを含むエンターテインメント部門で1位の栄冠に輝いたのは、ファミコン用RPGの最高峰『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』でした。社会現象となった発売日の狂騒、ロト三部作を締めくくる衝撃の物語構成、堀井雄二氏による秀逸なシステム設計は、日本のコンシューマーゲーム文化の礎を築いたと満場一致で評されました。さらにアート部門では、岩井俊雄氏のインタラクティブ・インスタレーション『時間層II』が1位に選出され、鑑賞者の身体性とデジタル技術を融合させたメディアアートの先駆的存在として確固たる地位を示しました。