そもそも、なぜ天体は分裂するのか。映画の中では、1200年周期で地球に近づくティアマト彗星が、太陽の潮汐力によって核を破壊され、その一部が隕石となって落下した。この現象は「潮汐破壊」と呼ばれ、宇宙空間では日常的に発生している。特に氷や塵が緩く結合した「ラブルパイル(礫集積)」構造を持つ彗星は、わずかな重力の変化で容易に形を崩す。
糸守町を直撃した破片は、直径約40メートルと推定されている。この規模の岩石が大気圏に突入すると、核爆弾にも匹敵するエネルギーが放出される。映画で描かれたクレーターの規模や、周囲の森林がなぎ倒される描写は、1908年にロシアで起きた「ツングースカ大爆発」のデータと完全に合致する。物理学者たちは、あの描写が単なる視覚的演出ではなく、緻密な熱力学計算に基づいていたことを改めて指摘している。