スーパーの棚に整然と並ぶ、形の揃った野菜たち。だが、それらは本当に私たちが求める「味」なのだろうか。固定種や在来種の野菜には、不揃いで武骨な見た目からは想像もつかないほど濃厚な風味と、土地ごとのテロワールが凝縮されている。一口かじれば、昔ながらの野性味あふれる香りが口いっぱいに広がる。
何世代にもわたって特定の地域で栽培され、その土地の風土に順応してきた固定種は、化学肥料や農薬に依存せずとも力強く育つ逞しさを持つ。病害虫に対する自然な抗体や、厳しい乾魃・長雨を生き抜く適応能力は、近代農業が見落としてきた貴重な生命力の証だ。