この場所が放つ独特の魅力は、市井のファンだけでなく文化人たちをも魅了してやまない。庶民文化研究の第一人者である町田忍氏は、長年にわたり東京の銭湯建築やレトロ意匠の価値を記録し続けてきたが、地域の生活に根ざしながら進化を続ける湯処のあり方を高く評価している。
フランス出身で日本銭湯文化協会の公式アンバサダーを務めるステファニー・コロイン氏もまた、国境を越えた銭湯の美学を世界へ発信するキーパーソンだ。彼女が語るように、栗の湯に息づくタイル画の情緒や、世代を超えた入浴マナーの共有は、無形文化遺産に匹敵する日本固有のホスピタリティそのものと言える。