普段のせいやといえば、昭和歌謡を愛し、モノマネを得意とし、相方の粗品と共にテンポの速い漫才で劇場を沸かせる「生粋の芸人」だ。常に明るいエネルギーを放つ彼が、日曜劇場の重厚なミステリーの核となる犯人役を演じる。このギャップこそが、制作陣の最大の狙いであり、同時に最大の賭けでもあった。
彼が演じた田中正志は、一見すると人懐っこく、どこか頼りない地域の青年だ。しかし、その裏に隠されたドス黒い復讐心と、狂気に満ちた二面性が暴かれた瞬間、視聴者は鳥肌を禁じ得なかった。引きつった笑み、焦点の合わない瞳、そしてボソボソと呟くような不気味な発声。お笑い芸人としての「せいや」を完全に消し去ったその佇まいは、本職の俳優たちをも脅かす凄みに満ちていた。