メガバンクの根幹を揺るがす事態だった。2026年、全国のATMが突如として稼働を停止し、通帳やキャッシュカードが機器に取り込まれたまま戻らないというトラブルが頻発した。障害は一度にとどまらず、わずか1年の間に8回ものシステム障害が相次いで発生。全国の顧客や企業活動に深刻な混乱をもたらした。
トラブルの中心にあったのが、約4500億円の巨費と約35万人・月の工数を投じて構築された勘定系システム「MINORI」である。2019年に運用を開始したMINORIは、過去の障害反省を踏まえ、堅牢性と柔軟性を兼ね備えた最新鋭のIT基盤として喝采を浴びたはずだった。しかし、運用開始からわずか2年でシステム障害が頻発。現場の運用体制の脆さと、システム内部のボトルネックが浮き彫りとなった。
この危機的状況に対し、行政側も前例のない強硬な姿勢を示した。金融庁は業務改善命令を発出し、異例とも言えるシステム更新計画の事前報告や改修プロセスの監視体制を課した。監督官庁が銀行のシステム運用にここまで深く踏み込むのは極めて異例のことである。MINORIが抱えていたのは単なるプログラムのバグではなく、システム設計の根本とガバナンスの不全という深い病巣だった。