男子シングルで世界の頂点に立ったスケーターが、勝負の点数という枠組みを脱ぎ捨てた。競技時代の「滑る」という概念から、「氷上に世界観を構築する」へ。ジャンプの回転数や技の出来栄え点(GOE)という数値の縛りから自由になったリンクの上で、彼は解き放たれた鳥のように自在に舞う。
「いまは自分が表現したい氷上のドラマを極限まで突き詰められる感覚がある」。取材陣に語ったリラックスした表情の裏には、表現者としての強い矜持と覚悟がにじむ。一つひとつのエッジワーク、指先まで神経が行き届いた所作。氷と深く対話する彼の滑りは、客席の観客の感情を激しく揺さぶり続けている。