『ジョゼとトラと魚たち』で采配を振るった監督・犬童一心との出会いは、彼女のポテンシャルを極限まで引き出した。犬童監督は彼女の持つ「説明不可能なリアリティ」を見抜き、カメラの前で自由に呼吸させた。計算された演技ではなく、その場で起きる奇跡を掬い取る演出と彼女の鋭敏な感性が完璧に噛み合った瞬間だった。
所属事務所である吉本興業との歩みもユニークだ。お笑いのイメージが強い同社において、彼女は一貫して本格派の映画女優としての独自路線を歩み続けてきた。タレントとしてのプロモーションに依存せず、作品選びと演技そのものの質で勝負する姿勢を貫けた背景には、事務所側の理解と長年にわたる自由な環境作りがあった。