「かんなび」という言葉は、古代日本語の「神並(かむなび)」「神隠(かむなび)」に由来します。古神道において「神々が鎮座する森」「神が籠もる神体山」を意味し、自然物そのものに神性を見出すアニミズムの象徴とされてきました。
山中を歩くと、その神聖な空気感を裏付ける史跡が今も静かに息づいています。山頂付近に鎮座する甘南備神社は、山そのものを御神体として祀ってきた古代祭祀の形態を色濃く残すスポットです。巨木に囲まれた社殿の周辺は、現在もパワースポットとして多くの参拝者を惹きつけています。
さらに山中には、奈良時代の僧・行基が開基したと伝わる「甘南備寺(かんなびじ)跡」が存在します。かつて七堂伽藍を誇り、真言密教の霊場として隆盛を極めたものの、中世の戦火によって衰退。現在は木漏れ日の中に礎石や案内板が残るのみですが、歴史探訪者にとって深く心を揺さぶられる空間となっています。