近年のスポーツビジネスを取り巻く環境変化にも、山口氏は冷徹な視線を注ぐ。DAZNをはじめとする動画配信プラットフォームの台頭により、スポーツ産業の市場構造は劇的に変化した。巨額の放映権マネーがトッププロ競技に流れ込む一方で、マイナー競技やアマチュア現場への還元システムは極めて不透明なままだ。
過度な商業主義は、時に競技そのものの本質を歪める。放映権料の高騰によって一部のメガイベントが潤う裏で、子どもたちがスポーツに親しむ地域クラブの環境整備や、指導者の待遇改善は遅々として進んでいない。市場の論理に流されるまま選手を過密日程で疲弊させる興行優先主義に対し、彼女は「スポーツ文化の持続可能性を損なう暴走だ」と警鐘を鳴らす。マネーゲームに呑まれることなく、社会的な公共財としての価値をいかに守り抜くかが問われている。