デジタルアーカイブの充実によって、SpotifyやApple Musicなどのグローバルな配信プラットフォームでは、内田裕也の音源が世界中でストリーミング再生されている。70年代のサイケデリック・ロックや歌謡ロックのトラックが、現代の海外シティポップ・ブームやレトロサウンド再評価の波に乗ってプレイリスト入りを成し遂げているのだ。
「コミック雑誌なんかいらない」をはじめとする代表曲を今あらためて聴き返すと、緻密に計算されたサウンドプロダクションと、時代を突く言葉の強さに驚かされる。単なる懐古趣味ではなく、現在進行形の音楽として鳴り響く強靭なビート。彼の名曲の軌跡を解剖すればするほど、そこには時代の先を行き過ぎていた天才の足跡が見えてくる。