夜中にふと目を覚ましたとき、暗闇の中で愛猫の目が怪しく光る瞬間に息を呑んだことはないだろうか。あの発光現象の正体こそ、網膜の裏側に配置された反射板「タペタム」だ。
タペタムは、網膜を一度通り抜けたわずかな光を鏡のように反射させ、再び視細胞へと送り届ける。人間のわずか6分の1程度の光量でも、猫は周囲の形状をクリアに捉えることができる。昼間は細いスリット状に絞られていた瞳孔が、夜になると真ん丸に広がるのも、光を最大限に取り込むための適応だ。
ただし、彼らの視覚は解像度や色彩の識別よりも「動き」の探知に特化している。時速数百キロで動く獲物のわずかなブレを瞬時に察知する動体視力は、最新のミリ波レーダーすら凌駕する。