「相手のことは好きなはずなのに、相手から愛情を注がれた瞬間に胸が息苦しくなり、すべてを投げ出して逃げたくなる」。臨床カウンセリングの現場で当事者から繰り返し語られるのは、愛情の喪失ではなく、自制心を失うことへの強いパニックです。
精神分析学や愛着理論において、この現象は「脱活性化戦略(Deactivating Strategies)」と呼ばれます。回避性愛着障害を抱える人は、他者と親密になることで「相手に依存し、拒絶されたときに壊滅的な打撃を受けるリスク」を本能的に恐れています。そのため、関係性が深まりそうになると、脳が非常ベルを鳴らし、強制的に感情のスイッチをオフにしてしまうのです。
これが、第三者から見ると「急に冷める理由」や「唐突な未読無視・音信不通」として現れます。決して相手を弄んでいるわけではなく、自らの精神的生命維持装置として「逃走」を選択しているのが実態です。