炉端とおでんを掲げる店を訪れた際、絶対に外せない看板メニューとその楽しみ方には明確なセオリーが存在します。職人の技術と素材の良し悪しが如実に表れるメニュー構成を理解しておくことで、その店の真価を余すところなく堪能できます。
まず筆頭に挙げられるのが、鮮魚を串に刺して炭火の周りに立てて焼き上げる「原始焼き」をはじめとする名物炭火焼きです。強火の遠火でじっくり火を通すことで、皮目はパリッと香ばしく、身は驚くほどふっくらとジューシーに仕上がります。鮎や鰯、銀鮭のハラスといった魚介類はもちろん、肉厚な原木椎茸や加賀蓮根などの旬野菜も炭火の恩恵を最大限に受ける逸品です。
そして、もう一方の主役であるおでんにおいては、出汁の設計に各店のこだわりが凝縮されています。定番の厚切り大根、半熟玉子、牛すじはもちろんのこと、近年ではトマトやカマンベールチーズといった変わり種種物を提供する店舗も増加しました。
ここで通の呑兵衛が締めくくり、あるいは中盤のハイライトとして頼むのが「炉端焼き おでん 出汁割り日本酒」です。熱燗にした辛口の日本酒に、旨味が溶け出した熱々のおでん出汁を注ぎ、七味唐辛子をひと振りしていただくこの飲み方は、アルコールの角を出汁のアミノ酸が包み込み、えも言われぬ多幸感をもたらします。炭火焼きの脂をすっきりと流しつつ、身体の芯から温まる至極のペアリングです。