丸い瞳が持つ効果は、決してポジティブな感情だけに作用するわけではない。ファンタジー映画の巨匠ティム・バートンは、その独特なダークゴシックの世界観の中で、極端に大きな丸い目を持つキャラクターを好んで描く。無垢な純粋さと、どこか浮世離れした奇妙さや恐怖感。この相反する二面性を同居させるフックとして瞳の造形が機能している。
映画産業における造形美術の発展に伴い、こうした視覚表現は実写VFXやパペットアニメーションの分野へも拡張された。異形のモンスターや悲劇の主人公に大きく丸い目を与えることで、言葉を持たない存在であっても、その奥底にある孤独や哀愁が観客の胸を打つ。不気味さと美しさの境界線上にある魅力を生み出す鍵が、まさにこの瞳のアンバランスさにある。