物語の深層において、ムスカ大佐(本名:ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ)の存在は単なる権力欲に憑かれた悪役に留まらない。彼自身もまた、かつて高度な科学文明を誇った天空都市ラピュタの王家から分かれた末裔である。宮崎駿監督が紡ぎ出した重厚なSFファンタジーの世界線において、古代のテクノロジーを取り戻そうとする彼の執念は、物語全体を牽引する巨大な駆動装置として機能していた。
失われた王国の威光を取り戻すという情念。それが、王女であるシータとの対比の中でより鮮明に描き出される。古典的な冒険アニメの枠組みを超え、人間の欲望と文明の失脚という重厚なテーマを提示した点に、本作が不朽の名作たる所以がある。